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原発事故 「広域避難」盛る 島根県 地域防災計画を改定

 島根県は21日、中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)の事故に備える地域防災計画・原子力災害対策編を改定した。福島第1原発事故を受けた改定で、放射性物質漏れなど同様の事故を想定。広域避難を初めて盛り込み、県の役割として避難先の確保や食料備蓄の必要性を定めた。

 国の原子力災害対策重点区域拡大を受け、エリアを従来の原発10キロ圏から30キロ圏とした。これまでの松江市に加え、出雲、雲南、安来の3市を追加し、3市に住民の避難計画策定を初めて求めた。

 避難先の確保は近隣県と調整し、公民館や公共施設を選定すると明記。バスなど避難手段も、国の協力を得て30キロ圏の4市と連携し確保するとした。仮設住宅の建設を視野に用地を把握することも課した。

 入院患者たち災害時要援護者と子どもの避難でも県の責任を明確化。病院による避難先の病院選定を支援する。社会福祉施設や学校、保育所も含め災害弱者がいる施設に避難計画の策定を求めた。

 この日、松江市で開いた県防災会議で了承された。ただ、避難手段について国との議論は始まっておらず、安全な避難への課題は山積している。溝口善兵衛知事は「国の支援を引き続き求める」とした。

 福島の事故を受け、県は2011年5月から原発30キロ圏の鳥取県、両県6市と地域防災計画に基づく避難計画づくりを開始。12年11月、30キロ圏39万6千人の一時避難先として県内と広島、岡山、鳥取県の中国地方4県から選んだ149カ所を示した。改定した地域防災計画に基づき、今後詳細な避難先を示す。(樋口浩二)

地域防災計画・原子力災害対策編
 原子力災害対策特別措置法に基づく国の原子力災害対策指針に沿って原発が立地する道県がつくる。島根原発の事故を想定した島根県の計画は、1号機稼働前の1970年に策定。事故発生時の連絡態勢などを定め、改定を重ねてきた。

(2013年2月22日朝刊掲載)

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