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原爆症認定 「グレーゾーン」困難 検討会 条件新設見送りへ

 厚生労働省の原爆症認定制度の在り方に関する検討会の第19回会議が21日、省内であった。原爆放射線と病気との関連(放射線起因性)を現行基準ほどは厳しく問わない「グレーゾーン」を認定条件に新設するかどうかを議論したが、否定的な声が強く、見送られる公算が大きくなった。

 グレーゾーン案は、現行基準による認定を「1種原爆症」、放射線起因性がないとは言えない事例を「2種原爆症」とする方向を委員の1人が示していた。

 これについて、荒井史男弁護士は、爆心地から3・5キロ以内で被爆した場合などに積極認定する現行基準ですでに起因性は大きく緩められ、国際的な科学的知見とは合わない可能性を指摘し、「適当でない」と主張した。他の委員から特に反論がなかったのを受け、神野直彦座長は「グレーゾーンを作るのは無理だ」と発言した。

 神野座長は終了後、記者団に、現行基準を前提に認定対象の病気を広げる案と、認定制度を廃止して、病状に応じて金額を加算する新たな手当を導入する日本被団協案の二つに絞られつつあるとの認識を表明した。次回は、残留放射線が健康に与える影響について議論を深める。(岡田浩平)

(2013年2月22日朝刊掲載)

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