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社説・コラム

[ハロー ユニタール] 国際会議の交渉術学ぶ

 広島で生まれ育った私にとって、核軍縮や核兵器廃絶というトピックは幼い頃から身近で大切なものでした。平和記念式典への参加や被爆者との語らいなど、核について意識する機会は幸い多くありましたが、実際に世界でなされている取り組みについて深く考えることは、社会に出るまであまりなかったように思います。

 国連ユニタール広島事務所の昨年度の核軍縮不拡散研修を担当し、東南アジアの政府職員が交渉技術などを学ぶ姿を目にするのは新鮮でした。核兵器禁止条約を取り巻く情勢など世界の現状について知識を深め、核拡散防止条約(NPT)の再検討会議での交渉を想定したロールプレーイングに臨みました。

 ある項目について「履行する」のか「確認する」のか「提言する」のか。どの時点において、誰を対象とするのか。単語一つをとってもぎりぎりの駆け引きが行われ、自国や主張の近い国々に有利な形で譲歩を引き出そうとします。交渉をうまく進めるには、関係する国々、特に自らと大きく主張の異なる国々がどのような事情を抱えているのか知ることが重要です。

 昨年度の経験もふまえ、本年度はさらに研修を充実できるよう、準備を進めています。3月に研修生を招き、広島の歩みについても学んでもらう予定です。(守田葉子)

(2018年11月27日中国新聞セレクト掲載)

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