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湯のまち 犬・猫に心もほっこり 江田島出身ライター西村りえさんが写真集企画

震災後の飼い主捜し契機 収益の一部を被災地に

 国内外の温泉を訪ねて魅力を伝えている、江田島市出身のライター西村りえさん(50)=横浜市緑区=が、東日本大震災の被災地支援を兼ねて写真集出版を企画している。湯のまちの看板の猫と犬をテーマに、日本各地の温泉や宿で暮らす姿を一冊にまとめる。「眺めてほっこりした気持ちになれば」と語る。(広田恭祥)

 東京での学生時代から温泉好きだった西村さん。温泉ライターの道に進んでからは、雑誌で連載をしたり、文化講座の講師を務めたりしてきた。「温泉がどう人を癒やすのか」を探ってきたという。

 足しげく通っていた東北地方で一昨年3月11日、東日本大震災が発生し、福島第1原発事故も起きた。西村さんが福島市に入ったのは4月中旬。吾妻連峰に抱かれた高湯温泉に客の姿はなく、なじみの旅館のおかみさんから「よく来てくださった」と言われた。

ポスター掲示

 混乱の中、ペットが置き去りにされたり、避難のため飼うのが難しくなったりするケースがあると知った。民間団体が保護活動に力を注いでいた。

 西村さんは知人と協力して、そうしたペットの情報を飼い主たちに伝える方法を思案。写真や特徴を載せたポスターを作り、避難者を受け入れた温泉地や施設に張り出した。

全国から募る

 現在もポスターを張っている高湯温泉共同浴場「あったか湯」。運営する同温泉観光協会の永山博昭事務局長(57)は「避難者が仮設住宅に移り始めた震災半年後くらいから、ポスターに目を凝らす人が増えてきた。実際に飼い主が見つかったケースもある」と話す。

 今回の写真集は、被災地をはじめ日本全国の温泉でかわいがられている犬や猫の写真を募る。年内には編集する予定だ。

 西村さんも行く先々で出会い、感じた安らぎ。長野県・奥山田温泉の24歳(人間にすると100歳以上)の長寿猫タロウや、福島県・湯ノ花温泉の旅館の看板犬、松山市・石手寺参道の猫…。「温泉と共存している風景を見て、心も温めてほしい。そして、被災地の動物たちにも目を向けてほしい」

 収益の一部は被災地の支援を続ける団体に贈るという。応募は、「ねこ温泉」「いぬ温泉」のテーマに合う写真と、撮影地、コメント、名前、連絡先を書いて、onsennekoinu@kaishagokko.comに送る。

(2013年2月23日朝刊掲載)

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