×

ニュース

平和公園の地中 旧中島地区 試掘始まる 遺構展示へ広島市

 原爆投下で壊滅し、平和記念公園(広島市中区)地下に残る旧中島地区の遺構の展示公開に向け、市は4日、原爆資料館東館の北側の緑地帯で試掘調査を始めた。展示に適した遺構の有無や状態を調べるためで、遺構保護のため非公開で進める。結果は来年3月にも専門家や被爆者でつくる市の懇談会で報告する。

 試掘するのは、材木店や民家、印刷所などの木造家屋が並んでいた「旧天神町筋」西側。幅0・5メートル、長さ5メートルの2区画を合わせ、L字形に掘る。深さ60~70センチで遺構に達するとみており、この日は市職員たち約10人が、くわなどで表土を削るように慎重に作業を進めた。

 この区画で遺構の状態を確認でき次第、旧天神町筋東側の試掘に移る。遺構の位置が想定と異なる場合などは、区画を広げての作業も視野に入れる。

 市は、かつて繁華街だった旧中島地区の壊滅を伝えるため、2020年度中の遺構公開を目指している。中川治昭・被爆体験継承担当課長は「公園には元々、多くの日常の営みがあった。一発の原爆で失われたものの大きさが分かる遺構が見つかれば」と話していた。(明知隼二)

(2018年12月5日朝刊掲載)

年別アーカイブ