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「核禁止条約批准を」 サーローさん、岸田氏に要望

 昨年のノーベル平和賞授賞式で非政府組織(NGO)核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN(アイキャン))を代表して演説したカナダの被爆者サーロー節子さん(86)は5日、自民党本部を訪れ、前外相の岸田文雄政調会長(広島1区)と面談した。核兵器禁止条約の意義を訴え、日本政府の批准を求めた。

 面談は約30分間で、冒頭を除き非公開。同席したICANの川崎哲(あきら)国際運営委員(50)たちによると、サーローさんは条約批准が核廃絶の一歩になると指摘。岸田氏は、核兵器の数や役割を最小限まで減らすのが先決であるとの考え方を示したという。

 サーローさんは広島市南区出身で、被爆死したおいは岸田氏と遠縁に当たるという。面談終了後、報道陣に「日本政府に再び条約批准を検討してほしいとの気持ちを何度も伝えた。オープンな姿勢で話してもらえたのはありがたかった」と語った。

 岸田氏も終了後の記者会見で「要望、指摘をいただき、刺激をもらった。核兵器のない世界を目指す目標は共有している。戦争被爆国の関係者の一員として努力しないといけない」と述べた。

 サーローさんはこの日、外務省で辻清人政務官とも面会。禁止条約の重要性を訴える内容の河野太郎外相宛ての手紙を手渡した。

 面会を要請していた河野氏に会えなかったことについて、サーローさんは「直接会えなかったのは残念。忙し過ぎるのか、避けていらっしゃるのか分からない」と話した。(田中美千子、野崎建一郎)

(2018年12月6日朝刊掲載)

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