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サーローさん官房副長官を訪問 首相面会かなわず

 昨年、非政府組織(NGO)核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN(アイキャン))を代表してノーベル平和賞授賞式で演説したカナダの被爆者サーロー節子さん(86)=広島市南区出身=が6日、首相官邸で西村康稔官房副長官と懇談した。終了後に記者会見し、安倍晋三首相との面会が実現しなかったことについて「違った意見の人にも会って語り続けるのが、本当のリーダーシップではないか」と述べた。

 サーローさん側は10月から首相との面会を求めてきたが、「日程の都合」(菅義偉官房長官)で西村氏が対応した。サーローさんは「被爆国日本が核兵器禁止条約に賛同しようとしないのは胸がつぶれる思い」と強調し、禁止条約の批准を迫る首相宛ての手紙を渡した。西村氏は「総理に渡したい」と答えた。

 冒頭以外は非公開。サーローさんは記者会見で、西村氏から「国民を守るためには核抑止力が必要」との趣旨の発言があったとし、「広島では市民が無差別に殺された。核使用が前提の抑止論は受け入れられず、私は反論した」と語った。

 自民党の岸田文雄政調会長(広島1区)との5日の懇談については「得るものがあった。アイデアを出してもらえば考慮したいとのオープンな態度だった」と振り返った。一方で、政府が禁止条約交渉への不参加を決めた当時、岸田氏が外相だったことについて「広島選出なのに残念だ」と断じた。

 市民に向けて「禁止条約を批准させるよう一人一人が政府にプレッシャーをかけてほしい。一緒に頑張りましょう」とも述べた。9日に日本を離れる。(田中美千子)

(2018年12月7日朝刊掲載)

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