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原爆の惨状 描き継承 西区の洋画家大前さん 三良坂で作品展

犠牲者の目 強く表現

 自らの被爆体験を画布に表現する広島市西区の洋画家、大前博士さん(81)の作品展「目玉の記憶 8・6ヒロシマ」が8日、三次市三良坂町の三良坂平和美術館で始まった。被爆後の広島を印象的に描いた現代アートなど20点が並び、原爆の恐ろしさを伝える。2019年1月27日まで。(八百村耕平)

 大前さんは、8歳の時に西区己斐の自宅で被爆。直後に見た黒い上昇気流や街を燃やす赤い竜巻など、惨状を描いた作品が並ぶ。川に流れる多くの亡きがら、わが子をかばうように絶命した母の体をついばむカラスなど、むごたらしい光景も。「特に印象に残った」と話す犠牲者の目が強く描かれている。

 三次市四拾貫町の松尾潤子さん(71)は「抽象的なのにとてもリアルで、怖さがじかに伝わる。この惨状を生き延びたのかと、被爆した父を思い出した」と絵を見つめていた。

 大前さんは、28歳の時に被爆体験を題材にした個展を開いたが、精神的苦痛から体調を崩し、長らく原爆の絵を描かなくなった。戦後70年の節目を迎えた15年、「自分が後世に伝えなければ」と思い直したという。

 大前さんは「二度とあってはならない惨劇。平和の大切さをあらためて感じてほしい」。9日と1月20日には、ギャラリートークで思いを語る。

 一般400円、65歳以上300円、高校生200円、中学生以下無料。月曜休館。同館☎0824(44)3214。

(2018年12月9日朝刊掲載)

  大前博士さんを通して継承を考える広島県立五日市高校放送部のドキュメンタリー「ヒロシマを描く」を「動画で平和発信」のコーナーにアップしています。

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