×

社説・コラム

『記者縦横』 早朝の騒音 不安

■岩国総局 馬上稔子

 最近、スマートフォンで睡眠を記録できるアプリを使い始めた。枕元に置いておくと、寝返りなどから快眠度を測るというもの。どの時間帯に熟睡しているかなどもデータ化され興味深い。

 そんな中、12月初めには午前5時前後に目が覚める日が続いた。「ブーン」という低いプロペラ音が響いたからだ。自宅は米軍岩国基地から約2キロの岩国市中心部だが、窓を閉め切っていても響く。真っ暗な空に音だけが聞こえ、住民の生活への影響を実感する。広島市の住民からも早朝の航空機騒音情報が本紙に寄せられた。聞き慣れない住民にはさらに不安なことだろう。

 岩国基地は11月下旬から滑走路の運用時間(午前6時半~午後11時)外に航空機が離着陸する可能性があると岩国市に通知。その日も通知の期間内だった。ただ時間外運用を巡っては、9月から突然、米軍が基地を共同使用する海上自衛隊に代わり海自機の時間外運用でも事前通知を開始。11月下旬以降は米軍機か海自機かも明かさなくなっていた。何が飛んでいるのか。正体の知れない音や、さらに分かりにくくなった運用に不安と憤りが募る。

 そして6日未明、岩国基地所属の米軍機2機が高知県沖に墜落し、隊員6人が亡くなった。空母艦載機移転も完了した岩国基地に対する市民の関心や不安は増している。不安を軽減するためにも国や自治体、米軍は、常に市民の疑問に答えるべきだ。

(2018年12月14日朝刊掲載)

年別アーカイブ