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中電、松江市に寄付継続 島根原発3号機関連 新年度3000万円

 中国電力が島根原子力発電所の立地する島根県松江市に対し、2013年度も匿名の寄付を続けることが26日、分かった。3号機の新設に伴う交付金で建設された漁業施設の運営費3千万円。寄付は9年連続で、福島第1原発事故後も毎年度続く。12年度は赤字転落見込みの中電のコスト意識と、寄付に依存する市の体質が問われる。

 施設はアワビの種苗を育成・販売する同市鹿島町の市営鹿島・島根栽培漁業振興センター。中電によるアワビ生産を中電の資金などを基に市が引き継いだ経緯がある。3号機建設前の02年1月、旧鹿島、島根町(ともに現松江市)と島根県、両町の旧3漁協(現JFしまね)と結んだ覚書に沿って寄付する。

 市によると寄付は施設が稼働した05年度に始まり、13年度までの総額は2億7千万円に上る。13年度分は当初予算案に盛り込まれた。

 施設の維持費は年約6千万円で、半額を寄付で賄う形。市は福島の事故を受け11年4月に辞退も検討したが断念した。政策企画課は「一般財源からの捻出が不可能な額ではないが、共同事業の色合いが濃いため」と説明する。

 寄付金は総括原価方式と呼ばれる仕組みで電力料金のコストに反映される。このため原価が膨らむとの批判もあり、国は同方式の撤廃を検討している。

 中電による寄付は過去に島根原発がある旧鹿島町と隣接の旧島根町に約52億円、上関原発の新設計画がある山口県上関町に24億円が判明している。中電は「寄付は篤志で公表はしない。円滑な電力供給につながる場合は重要」としている。(樋口浩二)

(2013年2月27日朝刊掲載)

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