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国際再生エネ機関誘致へ 広島市が名乗り

■記者 東海右佐衛門直柄

 広島市が、太陽光発電などの利用を促進する新国際機関「国際再生可能エネルギー機関(IRENA)」の本部誘致を目指すことが分かった。国際平和文化都市としての機能を高め、新産業を集積するのが狙い。担当局長が9日、外務省に正式に意向を伝えた。候補地は再開発計画が白紙に戻った広島大本部跡地(中区)が有力という。

 IRENAは、再生可能エネルギーの普及を図る初の国際機関。1月にドイツのボンで設立総会が開催された。外務省によると、日本は、地球温暖化対策や化石燃料の枯渇問題に対応するため、米国などの動向もみながら正式加盟するかどうか調整中。

 市の誘致が成功すれば、国際機関としては国連訓練調査研究所(ユニタール)に続き2例目。国際機関本部としては初となる。

 市は1月下旬に外務、環境、経済産業、農林水産省にIRENAへの国の正式加盟と、広島への国際本部の設置を求める要望書を提出していた。

 9日は、亀井且博エネルギー・温暖化担当局長が外務、環境各省を訪れ、①被爆地として世界的に知られる広島での開設の意義②宿泊施設などの都市機能③昨年9月に主要国(G8)下院議長会議(議長サミット)を開いた実績を説明した。

 誘致理由として環境分野での新たな産業の創出▽廃棄物ゼロを目指す都市としての国際的な知名度の向上―を挙げている。

 外務省によると、これまでにオーストリアのウィーン、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビが本部誘致に名乗りをあげ、ドイツのボンも意欲的。国内では広島市だけという。

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)
 1月26日、設立を主導したドイツのボンで設立総会があり、フランス、スペインなど75カ国が署名。日本は国際エネルギー機関(IEA)との重複を理由に正式加盟を見送ったが、国際的な流れに取り残されかねないとの懸念から再検討中で、4月上旬にも正式加盟するかどうかの方針を固める。6月にエジプトで開かれる第2回委員会では、暫定的な本部や事務局長が決まる見通しとなっている。

(2009年3月10日朝刊掲載)

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