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ネットの平和講座 開始 広島県 全5回 受講受け付け

 広島の被爆者や専門家へのインタビューなどを通じて、核を巡る国際動向を学ぶ広島県の無料オンライン講座が20日、始まった。県によると19日現在、県内外の1081人が受講を申し込んだ。全5回の講座のうち2019年1月中旬までの計3回を視聴し、終了後に各回のクイズに答えると電子版の修了証が得られる。受講希望者を19年3月29日まで受け付けている。

 初回は約35分。原爆投下から、その後の原水爆禁止運動の高まりなど戦中戦後の動きをテーマにする。全回で講師を務める東京大大学院の藤原帰一教授(62)=国際政治学=が、原爆資料館(広島市中区)と袋町小平和資料館(中区)の2カ所を舞台に講義をする。修了証を得るためのクイズは、初回は6問だった。

 メインパートでは、藤原教授が県被団協理事長の坪井直(すなお)さん(93)と被爆米兵の調査を続ける森重昭さん(81)の被爆者2人から聞き取る。坪井さんは「歩道に石で『ここに死す』と書いた」と当時の覚悟を語り、「小さな女の子が火のある方へ走っていくのが見えた。行くなと叫んだが助けられなかった」と涙を流した。

 県は19年1月中旬までに2、3回目の講座を公開する。核問題に詳しい米スタンフォード大教授や元国連事務次長たち専門家3人が登場し、北朝鮮の核実験やイランの核開発など多様化するリスクを話す。4、5回目の講座は19年4月以降の公開を予定している。

 被爆者の高齢化などによる記憶の風化を防ぎ、廃絶策を考えるために必要な知識を身に付けてもらう取り組み。県は「特に大学生たち若い人に受けてほしい」と呼び掛ける。県平和推進プロジェクト・チーム☎082(513)2366=平日のみ。(木原由維)

(2018年12月21日朝刊掲載)

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