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平和の大切さ 継承に力 特攻隊学ぶ旅を初企画 庄原の遺族連

 広島県庄原市の遺族連合会が、戦争を知らない世代に、不幸な歴史を語り継ぐ活動に力を入れている。今月半ばには井沢聖昭(まさあき)会長(74)が、戦没者の孫に当たる40~50歳代の4人とともに、第2次大戦中に日本軍の特攻隊基地があった鹿児島県南九州市知覧町を訪問。ともに平和の大切さをかみしめた。(森下敬)

 戦後生まれの世代との知覧町への旅は初めて企画した。一行は知覧特攻平和会館を見学、帰郷後、旅行を振り返る会を開き、思いを語り合った。

 同会館は20歳前後で亡くなった1036人の遺影や遺書などを展示している。浜野大作さん(40)=東本町、会社員=は「戦争への自分の知識の浅さを知り、恥ずかしくなった。戦争経験者の母に話を聞くようになった」と言う。

 荒木伸二さん(44)=同町、電気工事業=は、出撃前日に笑顔で撮られた写真が印象に残った。「家族や国を守ろうと、納得しての出撃だったのだろうか」と感想を話し、「だからこそ、そんな気持ちにさせる戦争は繰り返してはいけない」と語気を強めた。

 「次の世代にしっかり話をするため、もう一度行きたい」との声も上がった。見学を通じ、「二度と戦争のない平和な社会の維持」という会の設立理念と同じ思いを全員が強く持ったという。

 同連合会の会員約50人の平均年齢は75歳になった。若い世代の加入を促し、遺族の思いを引き継ぐ狙いで、研修の旅を企画した。

 今回の4人は会員ではないが「今後は会の活動に役立ちたい」と口をそろえる。来年以降も毎年4、5人ずつ知覧への派遣を計画する予定だ。

(2013年2月28日朝刊掲載)

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