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原爆資料館で9月開催 戦争犠牲者追悼の国際博物館会議委

 初めて日本招致が実現した大型国際会議で、2019年9月にある国際博物館会議(ICOM(アイコム)、本部フランス・パリ)京都大会の戦争などの犠牲者の追悼・記憶の継承に関する会議が、原爆資料館(広島市中区)で開かれることが4日、分かった。出席者は同年4月に再オープンする本館を見学する予定で、資料館は新たな展示の発信や各国の博物館との連携を強める好機とみる。

 大会は9月1~7日で、京都市内を本会場に141カ国・地域から約3千人の参加を見込む。関係者によると、原爆資料館では、専門別の国際委員会の一つ「公共に対する犯罪犠牲者追悼のための記念博物館国際委員会」(ICMEMO(アイシーメモ))を開く。資料館には16年5月に米国のオバマ前大統領が訪れるなど国際的な注目が高まっており、ICMEMO側が、被爆地広島での会議を希望した。

 ICMEMOは戦争のほか、テロ事件や人種差別政策などの被害者の追悼・記憶の継承や平和教育を扱う。各国の博物館関係者たちが大会会期の後半、京都市から広島市へ移動し、資料館を見学して委員会に関わる議論をする。米国ニューヨークの中枢同時テロ現場跡地にある「9・11記念博物館」の副館長の講演などを予定し、市民への公開も検討している。

 資料館は米国の原爆投下で犠牲となった動員学徒の遺品をはじめ、被爆の実態を伝える実物資料を重視した展示へと本館を改装している。大型連休前の4月25日には東館を含めて全館が見られるようになり、海外への発信にも力を入れる。近年、海外での原爆展開催などに向けて各国の戦争に関わる博物館との連携も強めており、世界大会の機会を生かしたいとする。(水川恭輔)

国際博物館会議(ICOM)
 博物館に関する世界最大の国際的非政府組織で、ミュージアムの発展を目的に1946年に創設。世界141カ国・地域の約3万7千人の博物館関係者が加入し、30の専門別国際委員会がある。世界大会は3年に1度あり、京都大会は25回目。ICOM日本委員会や文化庁、観光庁などが日本の文化や歴史の発信につながるとして誘致し、15年に開催が決定。テーマは「文化をつなぐミュージアム―伝統を未来へ―」。

(2019年1月5日朝刊掲載)

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