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核保有論に警戒強める 静岡で原水禁 ビキニデー前に集会

 太平洋マーシャル諸島ビキニ環礁での米国の水爆実験によりマグロ漁船第五福竜丸が被曝(ひばく)して59年となる「ビキニデー」(3月1日)を前に、原水禁国民会議は28日、静岡市で全国集会を開いた。

 約250人が参加した。原水禁の川野浩一議長は、自民党の政権復帰に触れ「憲法改悪の動きが加速し、核保有論も強まりかねない。全ての核廃絶の先頭に立とう」と呼び掛けた。

 静岡福祉大の加藤一夫名誉教授は講演で、福島第1原発事故を受けて「ビキニ事件の意味が問われている」と強調。近年の調査で、世界的な被害の広がりが新たに判明していると指摘し「被害の矮小(わいしょう)化の背景に原子力の平和利用の推進があった。ビキニを脱原発の原点に据えよう」と訴えた。

 福島県平和フォーラムの五十嵐史郎代表は「福島では不安を抑圧する風潮や補償などをめぐる地域の分断が起きている」と報告。原発を含む核社会からの決別を掲げ、「フクシマを核時代の終わりの始まりに」と訴えるアピールを採択した。

 この日、日本原水協も静岡市で全国集会を開催。海外の反核運動家の報告を聞き、分科会を開いた。(山本洋子)

広島県原水協 講師招き集会

 3月1日の「ビキニデー」に合わせ、広島県原水協は28日、広島市東区で集会を開いた。広島市立大広島平和研究所(安佐南区)の高橋博子講師(米国史)が講演し、約70人が聞き入った。

 高橋講師は1954年3~5月、米国が太平洋ビキニ環礁などで水爆実験を繰り返しながら、世界122カ所で放射線量を測っていたことを説明。測定結果をまとめた米政府の公文書を示しながら「実験後は『死の灰』(放射性降下物)が全世界を覆った」と強調した。

 当時の米原子力委員長たちの発言も紹介。「米政府は放射線被害の実態を知りながら『問題ない』とうそをついた」と指摘した。福島第1原発事故を踏まえ、「放射線被害を過小評価してはいけない。広島が核被害の深刻さを訴え、核と人間は共存できないとの認識を広めたい」と呼び掛けた。

(2013年3月1日朝刊掲載)

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