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米訓練移転 馬毛島買収 岩国市長は「前進」と歓迎

 FCLPの恒常的な施設整備を長年求めてきた岩国市の福田良彦市長は9日、政府による候補地の馬毛島買収について「報道が事実であれば大きな前進」と歓迎した。馬毛島に施設ができれば米軍岩国基地でのFCLPの可能性は低下するとみられる。

 FCLPは滑走路を甲板に見立てて離着陸を繰り返し激しい騒音を伴う。岩国では2000年が最後だが、住民の間で懸念は根強い。市は08年、空母艦載機移転に絡む安心安全対策の一つで、恒常的施設の場所を早く決め、岩国に建設しないよう国に求めていた。

 岩国から暫定的なFCLPの実施場所の硫黄島(東京都)までの距離は約1400キロ。艦載機移転前の厚木基地より約200キロ延びた。事故のリスクも高まるため岩国から約400キロの馬毛島での施設整備は米軍にとってもメリットが大きい。

 ただ、市が艦載機受け入れの条件にFCLPを岩国でしないよう求めたのに対し、米側は硫黄島が天候不良などで使えない場合の予備施設の一つに岩国を毎回指定。今後も除外される担保はなく、馬毛島での施設整備に10年程度かかるとの見通しもある。また、市民団体などは「近距離になる分、かえって往来が頻繁になり騒音が悪化するのでは」と懸念する。

 福田市長は報道陣の取材に「馬毛島に整備されれば岩国でのFCLPはなくなるのではないか」と期待し艦載機が島に滞在することで岩国基地での離着陸時間の調整も可能との見方を示した。早期整備とともに岩国を予備施設に指定しないよう引き続き国や米側に求める考えも強調した。(松本恭治)

(2019年1月11日朝刊掲載)

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