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次世代に託す憲法劇 広島弁護士会有志ら毎年5月に上演 脚本執筆 若手に引き継ぎ

 憲法に親しみを持ってもらおうと、広島弁護士会の有志たちが1994年から毎年5月に広島市で上演してきたミュージカル憲法劇が世代交代の時を迎えている。初回から四半世紀にわたり脚本を執筆してきた広島敦隆弁護士(73)が勇退。若手が後を継ぎ、26回目に向けた準備が進む。ただ、出演者が十分に集まっておらず、若者たちの参加を募っている。(藤田龍治)

 男女平等をテーマにした「女と男の共生の時代」(96年)、貧困ビジネスや生活保護を取り上げ、生存権のありようを問うた「閉塞(へいそく)の時代を生きる」(2011年)、9条改正の是非を問う「憲法改正狂想曲」(14年)…。広島弁護士が毎回、時勢を反映した脚本を作り、他の弁護士や公募の市民が5月3日の憲法記念日に上演してきたが、広島弁護士は高齢と病気のため、今回は東京で劇団を主宰する典門(のりかど)沙美さん(30)=東京都三鷹市=に脚本を託す。

 典門さんは崇徳高(西区)在校時に2度、憲法劇に出演した。「演劇の道に進んだのは憲法劇の経験が大きい。何とか恩返しをしたい」。自ら協力を願い出て、9条の大切さなどを伝える脚本の原案を作った。12日には弁護士の有志たちと中区で意見を交わした。広島弁護士は「言葉遣いが現代的でセンスもある。安心して引き渡せる」と語る。

 課題は出演者の確保。主婦や教員、高校生たち約60人が出演した年もあったが、昨年はほぼ半数にとどまった。17年連続で出演する井上明彦弁護士(44)は「脚本の執筆者が代わる年でもあり、これまで以上に多くの人に参加してほしい。テンポの速い場面があり若い人の力も必要」と参加を呼び掛ける。

 出演者の年齢や経験は問わない。2月10日に顔合わせをした後、5月3日の本番に向け広島弁護士会館(中区)で週2回練習していく。問い合わせは広島法律事務所☎082(228)2458。

9条や改憲考えよう 26日から中区で月1回講座

 広島弁護士会は26日から、憲法について考える全3回の連続講座を広島市中区上八丁堀の広島弁護士会館で開く。月1回土曜日の開催で無料。

 同会の弁護士が講師を務める。26日は安倍晋三首相たちが目指す9条改正の問題を検証。2月23日は自民党の改憲草案を取り上げる。3月16日には改憲の手続きを定めた国民投票法を解説する。

 いずれも午後1時半~3時。事前の申し込みは不要。同会平和・憲法問題対策委員会委員長の工藤勇行弁護士は「国民主権を自覚し、改憲の必要があるのかを主体的に考える機会にしてほしい」と話す。同会☎082(228)0230。

(2019年1月25日朝刊掲載)

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