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福島から避難の坪井さん 「広島に感謝」巣立ちの時 観音高で卒業式

 福島第1原発がある福島県大熊町から広島市南区に家族で避難中の坪井萌さん(18)が1日、西区の観音高を卒業した。関東の大学進学に合わせ、今月下旬にも母の実家がある茨城県に一家で転居する。恩師や友人への感謝を胸に、2年過ごした学びやを巣立った。

 震災発生から4日後、親類が暮らす広島に逃れた。不安だらけの新生活。坪井さんは多くの優しさに触れながら、笑顔を取り戻していったという。

 高校の制服は自治会の住民が用意してくれた。転校初日から級友が話しかけてくれた。一番の思い出は北海道への修学旅行。英語の勉強にも打ち込んだ。

 「選んだ道を力強く切り開いて」。卒業式での中川潔校長の言葉を胸に刻んだ。4月、神奈川県の大学に進む。英語力を磨き、世界でボランティア活動をするのが夢だ。「震災はつらい経験だったけれど、マイナスにはしたくない。支えてくれた広島の人に、いつか恩返しがしたい」

 被災地や周辺から避難し、広島県内の公立学校に通う児童生徒は108人(2月18日現在)。うち19人が3月、卒業を迎える。(教蓮孝匡)

(2013年3月2日朝刊掲載)

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