×

ニュース

西平和大橋欄干も復元 ノグチ氏の復興と平和への願い後世へ 広島市、年度内に着工

 広島市は、中区の平和大橋に続いて西平和大橋でも、今春から欄干を建設当初のコンクリート打ちっ放しに近い姿に戻す。いずれも世界的彫刻家イサム・ノグチ氏が設計したが、36年前の補修工事で外観が変わっていた。「復元」によりノグチ氏が作品に込めた復興と平和への願いをアピールする。(堅次亮平)

 両橋はいずれも平和大通り沿いにあり、1952年に完成した。平和大橋の欄干は、両端が半球状で反り返り「太陽」をイメージ。対となる西平和大橋は「船の先端」を模したデザインで、ノグチ氏は「悲惨な体験からの離別」の意味を込めたという。いずれも、被爆地復興の象徴として親しまれてきた。

 市は83年、両橋の欄干の表面を保護するため、自然石風の塗装を吹き付ける工事を実施。ただノグチ氏は、表面の質感の変化を残念がっていたといわれる。それから30年たった2013年ごろ、市は二つの橋の補強工事と兼ねて、欄干をそれぞれ元の姿に戻すことを決めた。

 西平和大橋の欄干工事は3月末までに着手し、6月までの完成を目指す。老朽化した部分を補修。表面の塗装を剝がし顔料や樹脂で表面を仕上げて、ノグチ氏がこだわったコンクリートの滑らかな表面が際立つ姿に戻す。

 昨年12月に着工した平和大橋は、今月半ばに北側欄干の工事が完了。現在は表面に傷が付くのを防ぐ黒いビニールで覆っており、3月中のお披露目となる。続けて南側欄干の工事に入る。

 イサム・ノグチ日本財団(高松市)の和泉正敏理事長(80)は「橋が本来の姿に戻るのは喜ばしい。今後も平和の架け橋としてあり続けてほしい」と話している。

(2019年1月27日朝刊掲載)

年別アーカイブ