旧中島地区巡るアプリ 東京大大学院の渡邉教授 来月公開
19年1月28日
広島の高校生が協力 カラー化写真活用
爆心地に近い広島市の旧中島地区で被爆前に撮影された写真の場所を、現在の平和記念公園を巡りながら確かめるスマートフォン向けのアプリ「記憶の解凍」を東京大大学院の渡邉英徳教授(44)が開発した。平和学習に役立ててもらおうと2月から無料で公開する。
衛星からの公園周辺の画像上に25枚の昔の写真を載せている。広島県産業奨励館(現原爆ドーム)前に立つ幼い兄弟や、にぎわう商店…。それぞれの位置が撮影された場所に当たり、触れると解説が表れる。切り替えて、中国新聞社が制作した被爆前の街並み復元地図上でも見ることができる。
カメラモードにして目の前にかざすと、衛星利用測位システム(GPS)を使って現在地から撮影場所までの距離と方角をアプリが計算して教えてくれる。
元住民が提供したモノクロ写真を、広島女学院高(中区)生徒の協力を得て人工知能(AI)技術で色付け。新たに撮影場所を特定した。「スマホに慣れた若い人も使いやすいはず」と共同制作した同高2年庭田杏珠さん(17)は期待する。渡邉教授は「写真を現実空間に結び付けることで核兵器が日常を根こそぎ奪うものだと実感してほしい」と話す。アプリ配信サイトで検索すればダウンロードできる。(山本祐司)
(2019年1月28日朝刊掲載)