×

ニュース

上関原発漁業補償金 再議には慎重論 反対派 「賛成多数なら打撃」

 中国電力の上関原発計画(山口県上関町)の漁業補償金約10億8千万円を山口県漁協祝島支店(同町祝島)が受け取ることを決めた問題で、「上関原発を建てさせない祝島島民の会」(清水敏保代表)は1日、島内で緊急対策会議を開いた。再議を求め、受け取り拒否に再逆転することは手続き的に可能だが「再び賛成が上回れば影響は大きい」とする慎重論が大勢を占めた。

 島民の会は4日に全体集会を開いて、緊急会議で出た意見を説明し、具体的な対応を協議する。

 県漁協本店(下関市)などによると、今後、祝島支店と県漁協が配分案をまとめ、組合員の多数が賛同して配分額が決まれば、各組合員に補償金が支払われる。その間、組合員の5分の1以上が連名で要求すれば、再び補償金の受け取りの可否を議題として採決することは可能という。

 この日の対策会議では運営委員たち8人が出席。一部で「再び採決に持ち込むべきだ」という声も出たが「再び賛成が上回れば覆すのは難しい」などの慎重論もあり、現時点では別の対策を進めることにしたという。

 補償金をめぐる集会と採決は今回で4度目。2012年2月の3回目の集会で補償金を議題にしないことも決議していたため、今回の採決の無効を求める訴訟などを検討するとみられる。

 清水代表は「島民の反対の意思が揺るぎないことを明確に発信していく。運動強化に向けた連携を呼び掛けていきたい」と話すが、県漁協本店幹部は「早く決着をつけたい。配分額決定の手続きに移行する」と対応を急ぐ構えも見せている。(久保田剛)

(2013年3月2日朝刊掲載)

年別アーカイブ