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米軍機の低空飛行訓練 国に騒音調査要望へ 島根県浜田市 

 中国山地で繰り返されている米軍機の低空飛行訓練を受け、島根県浜田市は、5月の県市長会定例会での国への要望事項に、公共施設の防音対策実現に向けた騒音調査を求める内容を初めて盛り込む。2月に県西部5市町の首長が参加して発足した「米軍機騒音等対策協議会」に参加する益田、江津の両市長にも同調を呼び掛ける。(石川昌義、浜岡学)

 市安全安心推進課によると、騒音の苦情が相次ぎ、振動による窓ガラスの破損被害があった旭町など山間部の学校や福祉施設を想定。防音対策実施に向け、県や市が独自に設置している騒音測定器について、国に予算措置を求めるという。

 現行の国の対策は、米軍や自衛隊の基地周辺の公共施設や住宅での防音アルミサッシ設置や吸音工事など。補助対象になるには、国の騒音調査で、航空機の騒音が生活に与える影響を評価する国際基準のうるささ指数(WECPNL=W値)が基準値を超える必要がある。

 中国四国防衛局によると、米軍機の飛行ルートに当たる中国山地では、国は騒音調査を実施していない。同局防音対策課は「基地周辺以外で基準値を上回ることは基本的にない」としている。一方、浜田市の宇津徹男市長は「すさまじい爆音の実態をまず確認するべきだ」と訴えている。

不安除去は国の責任 宇津・浜田市長に聞く

 騒音測定器の設置や首長による対策協議会の発足など、米軍機の低空飛行訓練問題に積極的に取り組む浜田市の宇津徹男市長に、活動の狙いを聞いた。(浜岡学)

 ―国に防音対策を求める意義は。
 中国山地の上空では米軍機がすさまじい爆音で飛んでいる。住民、とりわけ子どもの不安や動揺を取り除く責任は国にある。

 ―防音対策の前提となる国による騒音調査を、基地周辺以外で実施させることは難しいのではありませんか。
 被害の実態を広く伝えるために、市独自に騒音測定器を設置してきた。この取り組みは、県や他市町にも広がった。県と連携して国に要望する際に、大きな根拠になる。

 ―なぜ市単独ではなく、他市町や県との連携が重要なのですか。
 米軍機被害は県西部の限定的な問題という認識が根強い。市長会の会合では、低空飛行を撮影した映像を見せたい。まず県内にある東西の温度差を埋め、発信力を高めることが大切だ。

 ―旧浜田市長への就任は1996年。以前に比べ、最近の活動が目立つ理由は。
 沖縄の基地問題での民主党政権のミステークが再考の契機になった。合併で市域が中国山地に大きく広がった影響もある。以前は、米軍問題は別世界の話だという思いがあり、関心が薄かった。反省している。

(2013年3月3日朝刊掲載)

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