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福島から口和に避難 福元さん夫妻 チーズ工房 感謝の開店

 東日本大震災で被災した福島県いわき市から昨春、広島県庄原市口和町湯木に乳牛を連れて移住した福元紀生さん(34)奈津さん(34)夫妻が、自宅そばにチーズ工房を開いた。あの日から2年になるのを前に、3日、再出発を支えてくれた地域の人たちにお披露目した。(菊本孟)

 木造平屋約20平方メートルの「ふくふくチーズ工房」。約200メートル離れた牧場で放牧する牛の生乳を殺菌、加工し、モッツァレラチーズやリコッタチーズ、バター、ヨーグルトを製造、販売する。3日に開いた完成を祝う会には住民約30人が出席。夫妻がチーズを振る舞った。

 廿日市市出身の紀生さんと東京出身の奈津さんは広島市立大の同級生。いわき市で牧場を営んでいたが、福島第1原発事故による放射線の影響を避けるため、知人の紹介で昨年4月に湯木に移った。近くの住民が牛舎の改装や住居などをサポートし、工房の手作り看板も贈った。

 奈津さんは「いつも気にかけてくれる人たちの温かさが、新しい暮らしの喜びを感じさせてくれた」と感謝。地元の湯木釜峰自治会の大杉幸司会長(65)は「若い人が頑張ると、こっちも活気づく。しっかり自立して口和の顔になってほしい」とエールを送る。

 夫妻は1月に長女埜々花(ののか)ちゃんを授かり、3人家族に。2月には子牛が生まれ、牛は5頭になった。紀生さんは「もっと牧場を充実させ、チーズの味も磨きたい」と決意を新たにしていた。

(2013年3月4日朝刊掲載)

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