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原爆被害 理解深める 被爆者の証言 医科学の視点 中区 連続講座がスタート

 原爆の人的被害を証言と医科学的視点から伝える連続講座が16日、広島市中区の原爆資料館で始まった。約270人が、被爆者の体験や放射線の専門家の解説から、原爆被害の実態を学んだ。

 初回は、15歳の時に学徒動員先の広島中央電話局で被爆した寺前妙子さん(88)=安佐南区=が証言した。これまでに少なくとも三つのがんを発症した経験を語り、「原爆で受けた心と身体の傷に生涯苦しんできた。若い人たちに二度と同じ悲しみを体験させたくない」と訴えた。

 続いて、被爆者医療と放射線の影響調査に取り組んできた鎌田七男広島大名誉教授が登壇した。寺前さんを含む、爆心地から540メートルで被爆した28人の染色体を調べた研究を紹介。「被曝(ひばく)線量が高いため高度の染色体異常が見られ、乳がんの発症リスクも高かった」などと説明した。

 講座は全4回。市の被爆体験伝承者らでつくる「被爆体験を継承する会」などの実行委員会が主催した。(新山京子)

(2019年2月17日朝刊掲載)

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