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「この世界の片隅に」上映3年目 茨城の劇場 ファン聖地「何度見ても感動」

 戦時中の広島市と呉市を舞台とし、全国的にヒットしたアニメ映画「この世界の片隅に」の上映を続ける劇場がある。茨城県土浦市の土浦セントラルシネマズで、18日に3年目に入った。映画関係者が「異例」と驚くロングランとなっており、広島県や山口県など遠方からもファンが訪れる「聖地」になっている。

 同作品は2016年11月に公開され、同館は17年2月18日に上映を始めた。当初は1日4回、現在は午前中に1回。この日は平日にもかかわらず、約10人が入った。7回目という土浦市の主婦飯島ゆかりさん(59)は「主人公のすずさんの気持ちになったり、戦時中の建物の描写に感心したり。何度見ても発見や感動がある」と満足そうだった。

 映画関連の情報を扱う興行通信社(東京)は「こんな長期の上映は他にないのでは」とする。土浦セントラルシネマズの寺内龍地社長(63)は「いい作品で、シアターで見続けたいという希望もあり、経営面を度外視してやっている。土浦は呉と同じく旧日本軍の拠点だったという個人的な思いもある」と説明する。

 同館にはファンたちが18年の初めごろから、登場人物のイラストなどを持ち寄り始め、待合ロビーは展示場所にもなっている。崇徳高(広島市西区)の新聞部がこの作品をテーマに制作した学校新聞も飾られている。

 新たなシーンを追加した「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」が今年中に公開される見通し。寺内社長は「それまで上映を続けたい」と話している。(野崎建一郎)

(2019年2月19日朝刊掲載)

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