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反核運動 強化など誓う ビキニ被曝65年 原水協・禁 静岡で集会

 静岡県焼津市のマグロ漁船第五福竜丸が米国によるマーシャル諸島ビキニ環礁での水爆実験で被曝(ひばく)して65年となった1日、日本原水協や原水禁国民会議がそれぞれ主催する「ビキニデー集会」があった。

 焼津市での原水協などの集会には約1500人が集まった。5歳の時に広島で被爆した静岡県原水爆被害者の会の大和忠雄会長(79)は、核戦力を近代化する保有国の動きに懸念を表明。「集会を跳躍台にして核廃絶に向けた活動を発展させよう」と、原爆展開催や署名活動強化を呼び掛けた。

 マーシャル諸島の元上院議員アバッカ・アンジャイン・マディソン氏も登壇。島を追われた上に放射線障害に苦しみ続けるロンゲラップ環礁の元住民たちの苦難を報告した。

 原水禁などの集会は静岡市で開かれ、約250人が参加。長崎の被爆者である川野浩一議長(79)は、核軍拡を進める米ロや核兵器禁止条約に背を向ける日本政府を批判し「核も戦争もない社会を子や孫に引き継げるかは、私たちの行動にかかっている」と激励した。

 講演したジャーナリストの金平茂紀氏は、ベトナムでの米朝首脳会談を巡って「広島、長崎、第五福竜丸事件、福島を経験し、非核化をけん引すべき日本は蚊帳の外で拉致問題しか語っていない」と問題視した。

 この日、第五福竜丸の元乗組員大石又七さん(85)が代表を務める「築地にマグロ塚を作る会」のメンバーは東京都庁を訪問。江東区の都立第五福竜丸展示館のそばにある石碑(マグロ塚)を被曝した魚が捨てられた築地市場の跡地に移設するよう求めている。

 6千筆超の署名を都知事と都議会議長宛てに提出した後、メンバーが会見した。大石さんはけがのために欠席したが「マグロ塚を移設し、そこから東京都が国際平和都市として発信していくことを望んでいます」とのメッセージが代読された。(田中美千子)

(2019年3月2日朝刊掲載)

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