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軍拡進むアジア 平和の道筋探る 広島平和研が論集

 広島市立大広島平和研究所が、論集「アジアの平和と核―国際関係の中の核開発とガバナンス」を出版した。アジア諸国の内政問題や国際情勢を踏まえ、北朝鮮の非核化や中国の軍拡、ミャンマーの少数民族迫害などを掘り下げ、平和への道筋を考えた。

 平和研の研究者や共同通信記者ら20人の共著。平和研からは、孫賢鎮(ソン・ヒョンジン)准教授が北朝鮮の非核化について「米朝間の信頼醸成と日米韓の連携を進め、査察と検証、監視の中で着実に相互点検しながら完遂を」と提言した。徐顕芬(ジョ・ケンフン)准教授は中国共産党の指導法を解説し、報道などが制限されている現状を報告した。

 北朝鮮やミャンマーで横行する人権侵害やラオスの貧困層拡大などにも触れた論文も収録。アジアを対象にした安全保障の国際機構の必要性も論じた。巻末に核兵器禁止条約の前文や、昨年6月の米朝共同声明を付けた。

 企画した吉川元・平和研所長は「現在のアジアは民主化が停滞し、軍拡が進む。地域の安定には平和と人間の安全保障の両方を見ることが大事だ」と強調している。共同通信社刊、A5判335ページ。2700円。(桑島美帆)

(2019年3月5日朝刊掲載)

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