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福島の健康管理「支援を」 放影研に科学諮問委勧告

 日米両政府が運営し、原爆被爆者の健康を調査する放射線影響研究所(放影研、広島市南区)の科学諮問委員会(共同座長・山下俊一福島県立医科大副学長)は6日、福島第1原発事故を受けた福島県の県民健康管理調査を、放影研が組織的に支援するよう勧告した。放影研の大久保利晃理事長は諮問委後の記者会見で「ただちに実現するのは困難」との見解を示した。

 研究員を派遣して健康管理調査の進め方を助言してきた放影研に対し、諮問委は「組織だった福島支援の可能性が模索される必要がある」と求めた。

 これを困難とする理由として、大久保理事長は放影研の予算編成の仕組みを挙げた。日米両政府が5年ごとに協議し、今の予算期間は2014年度まで続く。大久保理事長は「貢献はしたいが、新たな予算が組まれない限り許されない」と説明した。

 また会見で大久保理事長は、被爆者の血液や尿などの試料を一元管理するため13年度に設置する「生物試料センター」の組織体制を明らかにした。各研究部で管理してきた試料を1カ所に集め、専任2人を含む職員14人体制で年齢や性別、被爆線量などの情報をデータベース化する。

 諮問委は4~6日、広島市南区の放影研であり、日米の大学教授や医師たち12人の外部委員が研究内容を審議した。(田中美千子)

(2013年3月7日朝刊掲載)

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