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「家族」の時間 心の復興 犬2匹と飼い主再会 安佐北区のNPOが保護

 広島市安佐北区のNPO法人犬猫みなしご救援隊が6日、福島第1原発事故の被災地から連れ帰って保護している犬2匹を、福島市の仮設住宅などで暮らす飼い主と再会させた。保護した被災地の犬と猫は計約1400匹。4月6日には広島市中区で活動を紹介するイベントがある。

 中谷百里理事長(50)は6日朝、雌の老犬ポチッ子を連れ仮設住宅を訪れた。「元気だったか」。満面の笑みで出迎えたのは菅野サツキさん(85)。抱き寄せられたポチッ子は、懐かしい飼い主の顔をなめて喜んでいた。

 菅野さんは福島県飯舘村から避難した。仮設住宅では犬が飼えないため、2011年5月に救援隊へ預けた。

 「一緒に村に戻れる日がくるのかな」と菅野さん。夕方には中谷理事長がポチッ子を迎えに来て、再び離れ離れの生活に戻った。この日は別の犬1匹も、飼い主の高齢男性と再会した。

 救援隊はこれまで、保護した被災地の犬猫のうち約500匹を飼い主に戻し、900匹は安佐北区の保護施設や全国の里親の元で預かっている。2、3カ月に1度、飼い主と会わせている。

 中谷理事長は「ペットと離れた飼い主は、避難生活のストレスに加え、家族を失うような悲しさを感じている。世話を続けて安心させたい」と話す。

 イベントは4月6日午後1時半から、広島市中区の中国新聞ホールである。活動に共感した広島市内の有志が企画。被災地の学校や子どもを支援する「届けよう 希望 元気 キャンペーン」(中国新聞社、中国新聞中国会連合会主催)の一環として開く。中谷理事長が小さな命の尊さについて講演し、演劇の上演もある。

 併せて4月1~12日には、中国新聞ビルで活動を紹介する写真パネル展もある。事務局Tel082(236)2555。(桑田勇樹、有岡英俊)

(2013年3月7日朝刊掲載)

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