×

ニュース

8・6 遺品は語る 広島の原爆資料館改装、来月オープン

 原爆資料館(広島市中区)は8日、4月25日のリニューアルオープンを前に、本館のコーナー「8月6日の惨状」の一部を、有識者でつくる展示検討会議の委員と報道陣に公開した。米国の原爆投下で犠牲となった動員学徒の衣服やかばんを並べた集合展示など、見た人の想像力をかき立てる手法をとった。実物資料を中心に展示し、被爆者や遺族たちの苦しみをより伝えていく。

 「8月6日の惨状」は都市や人の原爆被害を伝えるコーナー。メインとなる中央の大型ガラスケースに、動員学徒が身に着けていたシャツやもんぺ、かばんなど遺品35点を並べた。周囲には折れ曲がった鉄骨など、きのこ雲の下で起きた街の惨状を表す大型資料を置き、壁には被爆の実態を示す写真や、被爆者が描いた「原爆の絵」を掲げた。

 委員9人たちを案内した志賀賢治館長は「説明の文字は極力抑え、感性に訴えるよう心掛けてきた。資料と向き合い、対話してもらいたい」と話していた。

 本館の展示は4コーナーで「8月6日の惨状」に続いて「放射線による被害」、遺影を添えた遺品を通じて被爆者や遺族の痛みに向き合う「魂の叫び」、被爆者が傷や後障害を抱えて生きた戦後を伝える「生きる」の順に展開する。実物資料260点(複製6点を含む)をはじめ、「原爆の絵」や写真など計491点の資料を並べる。

 資料館は本館オープン前日の4月24日、準備のため午後2時に閉館する。耐震化工事は2019年度中に終える。(明知隼二)

原爆資料館のリニューアル
 原爆資料館は1955年に開館し、大規模リニューアルは3度目となる。今回は、本館を「被爆の実相」、東館を核実験被害など「核兵器の危険性」、復興や平和活動に関する「広島の歩み」と位置付けて再整備する。有識者による展示検討会議で2010年8月に議論を開始。東館は既に展示改装を終え、先行して17年4月に再開した。

(2019年3月9日朝刊掲載)

年別アーカイブ