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13年度予算案一般会計 上関町、38億6900万円 原発交付金が大幅減

 山口県上関町議会は6日開会し、会期を15日までの10日間と決めた後、2013年度当初予算案を含む31議案を上程した。一般会計は12年度比7・3%減の38億6900万円で、2年連続のマイナス編成となった。

 12年度で原発建設計画に伴う特別交付金の受け取りが終了し、歳入見込みが大幅減。大型ハード事業は基金を取り崩して進める。

 歳出では、普通建設事業費が11億4100万円と211・9%の大幅増。ふるさと市場と総合文化センターの建設にそれぞれ1億3100万円、1億6700万円を充てたほか、町営墓地設計に800万円、町役場の建て替えに向けた基本計画策定に320万円を計上した。

 歳入では、12億9200万円だった原発関連交付金が7200万円になる見通し。原発計画の停滞に伴う事業所撤退などの影響で法人町民税も6・7%減とし、町税全体は1・2%減の2億2200万円と見込む。財政調整基金の1億3400万円など各基金を取り崩してまかなう。(久保田剛)

【解説】施設維持費の増加不可避

 山口県上関町の一般会計当初予算案は、上関原発に対する国の方針決定が長期化することを踏まえ、定住促進や観光振興による財源確保を一層強化する姿勢を打ち出したといえる。

 予算案では、室津地区に整備する町営住宅の用地造成・設計費に1億5900万円を計上。観光施設の看板や遊歩道整備に向けた計画作りも始める。総合文化センターなどの規模を縮小して着工するのも、不透明な財源を踏まえた措置だ。

 ただ、大規模施設の維持経費の増加は避けられない。町は原発交付金を維持運営専門の基金に積み立ててはいるが、建設先送りが続けば、財政逼迫(ひっぱく)は深刻さを増す。

 企業の少ない町に景気回復による税収の大幅増は見込めない。定住対策には過疎化に歯止めをかけたい柏原重海町長の強い思いがにじむが実効性のある施策でどう財源を確保していくか。柏原町長にはさらなる手腕が問われている。(久保田剛)

(2013年3月7日朝刊掲載)

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