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ヒロシマ復興 震災後のヒントに 故浜井市長を描く NHK、16日全国放映

 復興をテーマに、原爆で壊滅的な被害を受けた広島が、故浜井信三市長=写真=を中心によみがえっていく様子を描いたドキュメンタリードラマ「ヒロシマ 復興を夢見た男たち」(73分)を、NHKが16日午後9時から全国放映する。東日本大震災から2年。夢と理念を持って一歩ずつ立ち直ったヒロシマを表現することで被災地だけではなく、全国に応援メッセージを送る。(二井理江)

 番組は、浜井さんが1955年に中国新聞に寄稿した「広島市政秘話」と、それに加筆して出版した手記「原爆市長」を基に制作。45年の原爆投下から2年、浜井さんをはじめ産官学の友人10人足らずが時々集まって、再生に向けた夢と理想を語り合っていた。47年8月6日に「平和祭」を開こうとの話が出たのもこの会合だった。初めての式典での平和宣言は、被爆体験を世界に訴え、「平和」を柱にした都市づくりのスタートでもあった。

 番組のドキュメンタリー部分は、主に広島市内で撮影。放射線影響研究所(南区)にある浜井さんのカルテを撮影したり、長男の順三さん、当時市議だった吉田治平さんにインタビューしたりした。

 ドラマ部分では、浜井市長役が寺脇康文、妻役には広岡由里子、戦時中の藤田若水市長役は中尾彬が出演。2月中旬に撮影した。

 ドキュメンタリー部分を演出した李憲彦さん(50)は「『平和』という理念を掲げて皆の気持ちが一つになったからこそ、広島は復興していった。東北の復興へのヒントになれば」と話している。

浜井信三氏
 1905年広島市生まれ。原爆投下時は市の配給課長で、自身も被爆したが、被災者への食糧確保に奔走した。市助役を経て、47年4月、初の公選市長に就任。通算4期16年務めた。その間、広島平和記念都市建設法制定や原爆資料館建設、原爆ドーム保存など、「国際平和都市」としての復興に尽力した。68年2月、心筋梗塞のため62歳で急逝した。

(2013年3月11日朝刊掲載)

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