×

ニュース

岩国 騒音・事故懸念強く 艦載機移転1年 国際交流は活発化

 在日米軍再編に伴い米軍岩国基地(岩国市)へ空母艦載機の移転が完了し30日で1年となる。米海軍の約60機が加わった基地は既存の海兵隊機と合わせて約120機を擁する極東最大級の航空基地となった。地元では騒音の増大や相次ぐ事故に懸念の声が上がる。一方、米軍関係者の増加で国際交流は活発化している。

 市が基地南側の尾津町に設置する測定器は2018年4月以降、計8618回(今月27日現在)の航空機騒音を計測。17年度1年間の計6092回を大幅に上回り、滑走路が沖合に移設された10年度以降で年間最多となった。

 特に硫黄島(東京都)で陸上空母離着陸訓練(FCLP)があった5月は1402回と滑走路移設後の月別最多を更新。一方、艦載機が空母ロナルド・レーガンと長期航海に出た間は減少し、月により騒音状況は波が大きかった。

 相次ぐ所属機の事故やトラブルは巨大軍事拠点のそばで暮らす住民の不安を募らせた。11月、空母を発艦した艦載機1機が那覇市沖で墜落。12月には空中給油など夜間訓練中だった海兵隊機2機が高知県沖で接触、墜落し乗員6人が命を落とした。

 艦載機だけでなく軍人や軍属、家族の計約3800人が岩国に移り、基地関係者は1万人を超える。国が整備した日米共用の「愛宕スポーツコンプレックス」は新たな交流拠点となり、市の掲げる「基地との共存」に向けた動きも進んでいる。(松本恭治)

米空母艦載機移転計画
 在日米軍再編の一環で日米両政府が2006年5月に合意。米海軍の第5空母航空団に所属する4機種の艦載機約60機を米軍厚木基地(神奈川県)から岩国基地(岩国市)へ移す計画で、岩国市や山口県は17年7月に国に移転容認を伝えた。約60機の内訳は、FA18スーパーホーネット戦闘攻撃機48機程度▽EA18Gグラウラー電子戦機6機程度▽E2D早期警戒機5機▽C2輸送機1機。

(2019年3月29日朝刊掲載)

年別アーカイブ