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独の若者、広島で平和・原発考える 「なぜ原発に固執」疑問の声も

日本で奉仕活動 13人が広島訪問 原発・防衛…熱心に

 日本で福祉関連のボランティアをしているドイツの若者13人が8日、広島市中区の平和記念公園を訪れ、原爆被害や広島の平和行政を学んだ。2011年に原発停止を閣議決定し、徴兵制も同年停止したドイツ。原子力や防衛をめぐる日本政府の姿勢はドイツの若者にどう映ったのか。(田中美千子)

 13人は18~24歳の男女。政府の支援で昨年9月に来日し、広島や大阪など4府県のユースホステルや福祉施設で働く。徴兵制時代のドイツは兵役拒否者に福祉関連のボランティアを義務付けていた。2年前の徴兵制停止以降も政府が希望者の奉仕活動を後押しする。

 8日は広島平和文化センターのスティーブン・リーパー理事長や被爆者の話を聞き、原爆資料館を見学した。リーパー理事長には「核大国に核兵器を放棄させるにはどうすればいいと思うか」などと熱心に質問した。

 安佐南区の幼稚園で働く女性のコリーナ・ミヒャエリさん(19)は「被爆国で福島第1原発事故を経験した日本がどうして原発にこだわるのか分からない」と首をひねり、「再生可能エネルギーへの転換で世界のお手本になるべきだ」と話した。

 大阪市のユースホステルで働く女性のヤスミン・ツェンフェルダーさん(21)は、安倍晋三首相が意欲を示す自衛隊の「国防軍」化の構想を「悲しい過去に戻ろうとしているのか。とても残念だ」と嘆いた。

 一行は14日まで広島に滞在し、平和関連の学習を重ねる。

(2013年3月9日朝刊掲載)

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