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豪雨影響 入館9.4%減 原爆資料館18年度 本館再開待ちも

 原爆資料館(広島市中区)は5日、2018年度の入館者数は152万2453人だったと発表した。1955年の開館以来6番目に多いが、17年度に比べ15万8470人(9・4%)減った。同館は、昨年7月の西日本豪雨による旅行の自粛に加え、今月25日の本館リニューアル開館を見据えた「来館控え」もあったとみる。一方、外国人は43万4838人で6年連続で過去最多を更新した。

 月別では、豪雨が発生した18年7月は前年同月に比べて27・5%減、翌8月も同21・1%減と大幅に落ち込んだ。年間を通しても、19年3月を除く全ての月で前年より減少。同館は、本館リニューアルに伴い展示が限られているため、本館再開まで来館を先延ばししている人もいるとみる。

 一方、外国人は4万2171人(10・7%)増え、入館者数全体に占める割合は28・6%に達した。同館は、訪日観光客数が増えている上、世界最大の旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」で、日本の人気観光地として伏見稲荷大社(京都市)に次ぐ2位にランキングされたことなどを要因に挙げた。

 滝川卓男館長は「リニューアルにより、被爆者や遺族の苦しみや悲しみがより伝わる展示になる」と説明。本館が再開する19年度の入館者数は、オバマ前米大統領が来館した16年度並みの170万人台を目指したいとした。

 国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(中区)も同日、18年度の入館者数を発表した。全体では43万3912人で5年連続過去最多を更新し、うち外国人も最多の15万9312人だった。月別の入館者数では、18年4月は外国人の割合が52・0%と半分を超えた。

 叶真幹館長は「資料館が混み合う中、じっくりと被爆者の声に向き合える祈念館が共感を呼んでいるようだ」とみる。今後もリーフレットの多言語化など、外国人への対応を強化するとした。(明知隼二)

原爆資料館本館リニューアル
 1955年に本館、94年に東館が開館した。広島市は国重要文化財の本館の耐震化を進め、被爆の惨状や核兵器の非人道性をより分かりやすく伝える施設を目指し、2014年3月に全面改修を開始。東館は同年9月に展示スペースを閉じて改装し、17年4月に再び開館した。入れ替わりに本館を閉鎖し、内部改修と耐震化を進めた。耐震化工事は19年度中に終える。

(2019年4月8日朝刊掲載)

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