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バラICAN 活動の励み 川崎氏、育種家の田頭さんを初訪問 広島県廿日市

被爆体験にも耳傾ける

 核兵器禁止条約の実現に貢献した「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))への感謝を込め、新作のバラにその名を付けた育種家で被爆者の田頭数蔵さん(90)=広島県廿日市市友田=を、ICANの川崎哲国際運営委員(50)が初訪問。鉢植えや苗と対面した。

 川崎さんは、自身が共同代表を務める東京の非政府組織(NGO)ピースボートのスタッフと「広島バラ園」に足を運んだ。5月に開花を控えた鉢のほか、田頭さんが2月に接ぎ木したばかりの小さな苗が並ぶビニールハウスも見学した。

 74年前の8月6日夕に広島駅から爆心直下の相生橋を経て上天満町(現広島市西区)の自宅まで歩いた田頭さんの体験にも、じっくりと耳を傾けた。

 「助けてくれ。さもなくば足をつかむ」と悲痛な声で請う負傷者に何もできなかったこと。行方不明になった弟がすでに火葬され、紙袋に入った遺骨となって発見されたこと。「つい最近まで、つらくて話せなかった」と田頭さん。バラの名付けに、平和への積年の思いが詰まっていることを明かした。

 川崎さんは「田頭さんの深い思いを受け止めたい」と感謝。「ときには失敗しながら、繊細な技術と努力で育て上げ、広めるのがバラ作りだと知った。ICANの活動と重なり、本当に励まされた」と話した。ICANではまず、バラの写真の絵はがきを作成するなどして、核兵器禁止条約の推進に活用する考えだ。(金崎由美)

(2019年4月16日朝刊掲載)

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