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NPT体制堅持を 賢人会議が外相に提言書

 核兵器保有国、非保有国の双方の有識者で核軍縮の方策を考える外務省の「賢人会議」は16日、先月の前回会合でまとめた「京都アピール」を河野太郎外相に提出した。核を巡る国際情勢の悪化に危機感を深め、核拡散防止条約(NPT)の堅持を促す内容とした。

 和英文それぞれA4判で2ページのアピールは冒頭で、米ロの中距離核戦力(INF)廃棄条約を巡る対立などを念頭に「状況が悪化の一途をたどっている」と強調。NPTをはじめ、既存の核軍縮の枠組みを維持、堅持するよう求めている。

 NPTの下、核保有5大国が「核廃絶への明確な約束」に合意したことを改めて指摘した。NPT非加盟のインド、パキスタンなどを含む全ての核保有国に自国の核政策を国際社会に説明するよう迫っている。

 一方で非保有国に対しても、核に頼らずに平和をどう維持できるかを示す必要があるとした。人工知能(AI)など新たな技術が多国間の戦略的安定に及ぼす影響についても、各国で評価するように提言した。

 この日、座長の白石隆熊本県立大理事長ら委員5人が外務省に河野氏を訪ねアピールを手渡した。

 河野氏は、29日に米ニューヨークの国連本部で始まるNPT再検討会議の第3回準備委員会に辻清人政務官を派遣し、現地での議論にアピールを反映させたい考えを示した。

 賢人会議は岸田文雄自民党政調会長が外相時代に提唱し、2017年11月に初会合を広島市で開催。18年は、核戦力の透明性の向上や核軍縮の検証の仕組みづくりなどの提言をまとめた。(田中美千子)

(2019年4月17日朝刊掲載)

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