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「風化させぬ」広島の決意 震災きょう2年 避難者交流や灯籠作り

 東日本大震災から2年を前に10日、被災地に祈りをささげ、復興を後押しする催しが広島市内で相次いだ。福島第1原発事故で古里を追われた人、支援を続ける人…。「震災を風化させない」との強い決意をそれぞれが胸に刻んだ。(有岡英俊、加納亜弥、和田木健史)

 中区の市中央公園では、福島県や関東地方から避難した人たちが交流するイベント「つながろう! ふくしま―ひろしま みんなの広場」があった。参加者は円になって手をつなぎ、犠牲者に黙とうした。

 ステージで、庄原市などに移り住んだ5人が古里への思いをつづった歌を披露。リレートークでは広島に避難した経緯や、今なお抱える健康への不安を語り合った。福島県の郷土料理を売ったり、放射線被害の相談に乗ったりするブースも並んだ。

 福島市から広島市に息子2人と避難している主婦佐々木紀子さん(41)は「人とのつながりを実感できる一日になった」と喜んだ。

 被災地にエールを送る取り組みも。市民団体「チームひろしま つながろうセンター」(渡部晃久代表)は、中区のアステールプラザで灯籠作りを企画。原爆の子の像(中区)に届いた千羽鶴を再利用した和紙に、参加者20人が「がんばろう」などと書き込んだ。

 宮城県松島町で8月中旬にある祭り「松島流灯会 海の盆」で海に浮かべる。中区の会社員猪原康代さん(26)は「東北の現状は変わってはいない。忘れてはいけない」と絵筆を走らせていた。

 南区の県立広島産業会館では、復興支援コンサート「東日本エイド」があった。15団体・個人がポップスや神楽などを披露した。

 被災した岩手、宮城、福島出身の県人会や広島県内の音楽家たちでつくる実行委員会の主催。被災3県に収益金を届けてきたが、5回目の今回で最後とする。実行委の岡村信秀委員長は「今後も何らかの支援を検討したい」と話していた。

(2013年3月11日朝刊掲載)

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