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原爆資料館 滝川館長に聞く 被爆証言 新たにビデオ収録 修学旅行誘致に力

 実物資料を中心とした展示内容へと変わり、25日にリニューアルオープンする原爆資料館(広島市中区)の滝川卓男館長(60)に、今後の方向性や被爆体験の継承の在り方について聞いた。被爆体験証言者の講話を新たにビデオに収録する取り組みを進め、資料館の今後の運営に対する諮問機関を設ける方針を明らかにした。(野田華奈子)

  ―4月に着任されました。どんな資料館を目指しますか。
 ヒロシマの心の原点である被爆の実相を世界に発信し、次世代に継承する博物館として、被爆の証しをひたむきに収集し、調査、研究していく。一人一人の被爆者や遺族の苦しみ、悲しみをより多く伝え、心に響く展示にしたい。

  ―被爆者が高齢化しています。被爆体験を伝える取り組みをどう進めますか。
 被爆体験証言者の平均年齢は84歳を超え、継承が喫緊の課題だ。本年度から、証言者の講話を1人60分のビデオに収める事業を新たに始める。現時点で37人を予定し、2年かけて収録する。市観光政策部と連携し、関東からの修学旅行の誘致も訪問する学校数を増やして強化したい。

  ―9月に京都市で国際博物館会議(ICOM)があり、資料館でも専門部会が開かれます。このチャンスをどう生かしますか。
 鑑識眼のある専門家に資料館を見てもらう大事な機会。展示や設備についてさまざまな観点から意見をいただき、資料館や広島のまちの魅力を海外に広めてもらいたい。資料館では9月5日、スペインのゲルニカ平和資料館などが参加するパネルディスカッションがあり、一般公開される予定だ。ぜひ来館してほしい。

  ―資料館の運営について専門家の意見を得る諮問機関の必要性も指摘されていますね。
 3月の展示検討会議で提言があった。今の資料館の運営、展示、啓発活動に関してさまざまな意見を聞く必要がある。課題ごとの必要に応じ、その分野の専門家の意見を参考にできるような柔軟性のある諮問機関をつくる方向で検討したい。

(2019年4月25日朝刊掲載)

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