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原爆資料館再開 孫と訪問 廿日市の大本さん 遺品前で記憶伝える

被爆した姉のブラウス展示

 リニューアルオープンした原爆資料館本館(広島市中区)に、被爆した姉のブラウスが展示された大本久夫さん(88)=廿日市市=が25日、孫の清心中3年坂本莉萌子(りほこ)さん(14)=岡山市=と同館を訪れた。ブラウスと初めて対面した坂本さんは「二度とこんな悲惨なことを起こしてはいけない」と、記憶の継承へ思いを深めた。

 ブラウスは、建物疎開の作業に向かっていた大本利子さん=当時(17)=が爆心地から約1・7キロの比治山橋で被爆した時に着ていた。母が父のかすりの浴衣を仕立て直したこと、焼け野原を捜し回ったこと、やけどに苦しみながら2カ月後に亡くなったこと…。久夫さんが「無言の証人」の前で語って聞かせた。坂本さんはうなずきながら目に焼き付けていた。

 「あの日、何が起きたのか。若い人に理解を深めてほしい」と久夫さん。その願いに応え、坂本さんは「祖父の話を聞いて実物を見たら、より深く平和について学べる」と、再オープンの節目に初めて資料館を訪れた。展示を見終え、「当時の惨状が分かる。原爆の記憶を伝える大切な資料」と話した。

 坂本さんは10月、学校行事で資料館を再び訪れる。「それまでに祖父から聞いた話を友達に伝えたい。戦争や核兵器のない世界になるよう、少しずつでもできることをしていきたい」と誓った。(江川裕介)

(2019年4月26日朝刊掲載)

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