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観光客ら「あの日」に思い 原爆資料館新装 初の週末 連休重なり国内外から来館

 広島市中区の原爆資料館は27日、本館のリニューアルオープンから初の週末を迎えた。10連休の初日と重なり、国内外からの大勢の観光客や市民たちが来館。犠牲者の遺品など実物資料を中心とした新たな展示と向き合い、「あの日」に思いを重ねた。(江川裕介)

 午前8時半の開館前から入り口付近には約30人が集まった。「混むと思って早く来た」。初めて訪れた愛知県豊橋市の会社員古田幸男さん(38)は妻子3人と一緒に同8時から開館を待った。「子どもたちに戦争のひどさを感じさせたい」と話していた。

 館内では入場券を求める長い列ができた。照明を抑えた展示室では、入館者が譲り合いながら、焼け焦げた衣服や折れ曲がった鉄骨などの資料を見て回った。リニューアルを知り、下関市の仕事先に向かう途中に立ち寄った大阪府吹田市の会社員神谷昌岳さん(59)は「じっくり見るのが耐えられない。悲惨な歴史を訴える力がある」と話した。

 館内を案内するピースボランティアも、警備員とともに来館者を誘導した。ボランティアの田丸芳嗣さん(80)=西区=は「混雑時には長い時間、展示を見られない来館者もいる。限られた時間で、どうやってより深く被爆の実態を伝えるか考えたい」と話していた。

 同館によると、リニューアル初日の25日は6538人、26日は6277人が入館。2018年度の1日平均の4194人を上回った。同館は「28日以降、入館はさらに増える」とみている。連休中は日差しや雨を避けられるよう、館外にテントを準備する。

(2019年4月28日朝刊掲載)

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