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逆風下 核軍縮の道探る NPT再検討 第3回準備委開幕

 2020年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けた第3回準備委員会が29日、米ニューヨークの国連本部で開幕した。米国とロシアの対立や、核兵器禁止条約を巡る加盟国の分断が深まる中、加盟約190カ国の代表が核軍縮や核不拡散への道筋を探る。広島市の松井一実市長、広島県の湯崎英彦知事も現地入りし、核兵器廃絶を求める被爆地の訴えを届ける。(ニューヨーク発 明知隼二)

 5月10日までの日程。初日はハスリン議長(マレーシア)の進行で、各国代表が意見を述べる「一般討論」があり、日本の辻清人外務政務官も演説する。会期中、NPTの3本柱である核軍縮、不拡散、平和利用のテーマ別討論も経て、最終日に20年再検討会議への勧告採択を目指す。

 15年の前回再検討会議は、核兵器の法的禁止を含む廃絶の進め方や、中東の非核化を巡る対立から、最終文書を採択できずに決裂した。2回連続して失敗に終われば、20年で発効50年となるNPT体制そのものが深刻なダメージを受けかねない。

 また20年の会議は、17年に禁止条約が国連で採択されてから初の会議となる。核兵器の非人道性を強調する条約推進国に対し、核保有国は国際環境などを理由に強硬な態度を崩しておらず、歩み寄りの姿勢を見せるかは不透明だ。米ロ、米中など保有国間の対話も含め、準備委は20年に向けた試金石となる。「唯一の被爆国」を掲げながら米国の「核の傘」に頼る日本の姿勢も問われる。

核拡散防止条約(NPT)
 1970年に発効し、約190カ国が加盟する。米国、ロシア、英国、フランス、中国に核兵器の保有を認める一方、核軍縮の交渉義務を課す。それ以外の国には核兵器取得を禁じ、原子力の「平和利用」を認める。事実上の核保有国のイスラエルと、インド、パキスタンは未加盟。北朝鮮は2003年に脱退を表明した。条約の運用状況を点検するため、5年ごとに再検討会議を開催。05年は核保有国と非核保有国の対立などで決裂、10年には最終文書を全会一致で採択したが、前回の15年は再び決裂した。再検討会議の3年前から毎年、準備委員会を開く。今回は20年に向けた最後の準備委となる。

(2019年4月30日朝刊掲載)

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