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広島の会議出席要請 知事、国連事務総長と会談

 核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第3回準備委員会に出席するため、米ニューヨークを訪れている広島県の湯崎英彦知事は29日、国連本部で国連のアントニオ・グテレス事務総長と会談した。被爆地の発信力などについて意見を交わし、県が関わる国際会議への出席などを要望した。(ニューヨーク発 明知隼二)

 会談は約15分間で非公開。終了後に取材に応じた湯崎知事によると、グテレス事務総長は「広島には道徳的な権威がある」として被爆地の発信力を重視。来年以降に広島市を訪れる可能性に触れたという。湯崎知事は、県などの実行委員会が主催し、同市で開いている「国際平和のための世界経済人会議」への出席を要請。「経済を含めて、平和への関わり方を広げる重要性を共有できた」と話した。

 湯崎知事は同日、2017年にノーベル平和賞を受けた非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))のベアトリス・フィン事務局長とも面会し、若者への平和・軍縮教育で連携する覚書を締結した。また、核抑止の現状などを議論する県主催のシンポジウムにも出席した。

 広島市の松井一実市長はこの日、長崎市の田上富久市長とともに国連本部で、核兵器保有国である英国のエイダン・リドル軍縮大使と面会。リドル大使は「保有国は核軍縮を進めていないと批判されるが、英国は核抑止を最低限に抑えるなど誠実に取り組んでいる。ただ、さらに推進すべきだという点には同意する」と立場を説明。松井市長は「核兵器廃絶という被爆者の願いを受け、五大保有国のうち残り4カ国の軍縮を引っ張ってほしい」と求めた。

(2019年5月1日朝刊掲載)

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