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NPT 核保有国にも溝 準備委 日本、政策説明求める

 米ニューヨークの国連本部で開かれている核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第3回準備委員会は29日、各国政府による一般討論に入った。中距離核戦力(INF)廃棄条約の破棄を表明したトランプ米政権への批判が、核兵器保有国を含めて相次いだ。一方、米国は、今後の核軍縮を進められるような国際環境づくりが先だと主張。NPT体制の強化に向けた議論の難しさがあらためて浮き彫りとなった。(ニューヨーク発 明知隼二)

 保有国である中国の傅聡軍縮大使は、全ての保有国に核兵器の先制不使用を要求し、「ある国の一国主義や圧倒的に軍事的に有利に立とうとする姿勢が、国際的な安全保障環境を悪化させ続けている」と米国を暗に批判。ロシアも念頭に置いて「最も多く核兵器を持つ国が二国間の軍縮条約を維持、更新し、軍縮の責任を果たす必要がある」とし、両国の軍縮が先立つべきだと訴えた。ロシアも、INF廃棄条約の破棄表明などを挙げて米国を「核・ミサイルの軍備管理を30年前に引き戻すものだ」と主張した。

 一方、米国のフォード国務次官補(国際安全保障・不拡散担当)は「これまで核軍縮を進められた状況がもう当てはまらない以上、新しい議論を始めるときだ」と強調。核兵器の保有につながる国際環境の改善、核軍縮の取り組みへの信頼醸成などをテーマとした新たなワーキンググループの設置を提案した。核保有国間でも溝が広がっている現状があらわになった。

 日本はこの日、辻清人外務政務官が、保有国と非保有国の有識者による外務省の「賢人会議」がまとめた「京都アピール」を紹介。保有国に自国の核政策の説明を求め、全ての国が核軍縮の考え方の違いを超えて協力するよう訴えた。ただ保有国に核軍縮を義務付けるNPT第6条への言及や、保有国に核兵器削減を求める具体的な注文はなかった。

(2019年5月1日朝刊掲載)

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