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原爆資料館 混雑続く 最大90分待ち 館内も人垣

 原爆資料館(広島市中区)の混雑が、本館のリニューアルオープンから6日目となる30日も続いた。入場まで最大90分待ちで、館内も人垣で展示を見にくい状況となり、来館者から改善を求める声が上がった。案内を担うピースボランティアは、入館できない人に向けて平和記念公園内での解説に力を入れ始めた。

 午前8時半の開館前から入館を待つ人が500人以上並び、ピーク時の10時ごろには行列が入り口から約300メートル北の元安橋付近まで達した。本館内も見学者の列が一時動かなくなるほど混雑し、警備員が「立ち止まらないでください」と呼び掛ける状態だった。

 川崎市から家族と訪れた会社員藤田寛樹さん(52)は見学後「人が混みすぎて息苦しかった。特に子どもは展示が見にくい」と話し、空調の改善や後方からでも展示を見やすくする工夫を求めた。京都市の小学校教諭山田航大さん(26)は「連休なので混雑は仕方がない。来館者も譲り合って見学するべきだ」と見る側のモラルの向上を訴えた。

 この日、20人が参加したピースボランティアは混乱を防ぐため本館での解説を中止し、屋外で観光客たちに慰霊碑などの説明をした。被爆者でもある東区の木谷朱実さん(76)は「遠くから来た人には優先的に資料館に入ってもらい、すぐ来られる人は慰霊碑をじっくり見て回る機会にしてほしい」と呼び掛ける。

 本館は25日にリニューアルオープン。28日に1万1236人、29日は1万495人と連日、昨年度に最多だった5月4日の入館者数を超えた。資料館は混雑の背景を「想定を超えた入館。本館をゆっくり見る人も多い」と説明。現時点で対応策は検討しておらず、開館時間の延長や、屋外で待つ間の熱中症対策や混み合う館内での安全確保などについて滝川卓男館長は「来館者の声を聞きながら考えたい」とした。(永山啓一)

(2019年5月1日朝刊掲載)

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