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核禁条約署名・批准訴え 被団協・浜住事務局次長 NPT準備委 ヒバクシャ署名提出

 核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第3回準備委員会は1日、非政府組織(NGO)セッションを米ニューヨークの国連本部で開いた。広島で胎内被爆した日本被団協の浜住治郎事務局次長(73)は「核兵器がいまだに世界に存在する以上、被爆者にとり戦争は終わっていない」と強調し、各国代表に核兵器禁止条約への署名・批准の手続きを進めるよう訴えた。(ニューヨーク発 明知隼二)

 浜住氏はセッション最初の発言者として、原爆で父を亡くした肉親の体験を語った。焼け跡に父を捜した母や姉が見つけたのはベルトのバックルと鍵束、財布だけ。写真でしか知らない父を「思わない日はない。原爆は74年たっても被爆者の体、暮らし、心に被害を及ぼしている」とし、条約への署名と批准を求めた。

 平和首長会議会長の松井一実・広島市長、副会長の田上富久・長崎市長も発言し、同条約の意義を強調。松井市長は「過去の核軍縮も、緊迫する国際関係の中で指導者が勇気を持って歩み寄ることで進展した」と指摘した。田上市長は「核兵器廃絶への道が、現在のリーダーたちにより閉ざされようとしている」と危機感を表明し、米国、ロシアをはじめとする保有国に対し核軍縮への消極姿勢を正すよう訴えた。

 日本原水協の土田弥生事務局次長(62)も「広島と長崎の非人間的な結末を常に思い描くべきだ」と述べ、無条件の廃絶を求めた。

 終了後、浜住氏と日本被団協の木戸季市事務局長(79)が、全ての国に禁止条約の締結を求める「ヒバクシャ国際署名」941万5025筆の目録を準備委に提出した。受け取ったサイード議長(マレーシア)は、国連が1946年の最初の総会決議に、核兵器を含む大量破壊兵器の廃絶を盛り込んでいることに言及。「準備委の議論が、核兵器のない世界に向け進展することを期待している」と応じた。

(2019年5月3日朝刊掲載)

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