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勧告 全会一致へ「努力」 サイード議長

 2020年のNPT再検討会議に向けた第3回準備委員会のサイード議長は1日、準備委での合意形成が厳しい情勢にあるとしつつ「全会一致の勧告をまとめられるよう最善の努力をする」と述べた。準備委や再検討会議に対する、被爆地からの発信の意義も強調した。

 米ニューヨークの国連本部内で、平和首長会議の会長の松井一実・広島市長、副会長の田上富久・長崎市長との面会に応じた。(ニューヨーク発 明知隼二)

 準備委と20年再検討会議については、米国とロシアの対立などを背景に成果を悲観する見方もある。サイード氏は「国際情勢は政治と安全保障の両面で難しくなっており、準備委の状況も容易ではない」と認めた上で、準備委で全会一致の勧告を目指すと表明した。まとめられなかった場合でも「再検討会議を成功に導くような成果文書を出したい」と話した。

 準備委の内容については「20年に向け、全てを検討する」と述べるにとどめたが、加盟国に「核軍縮の誠実な交渉」を義務付けるNPT第6条については「取り組みが欠けている部分だ」との認識も示した。

 また、被爆証言など被爆地からの発信は「各国代表にない視点を与えてくれる」と歓迎。過去に原爆被害のドキュメンタリーを見た自身の経験から「被爆者の声を聞くことは大きな変化をもたらす。継続すべきだ」と話した。被爆地訪問の要請には「喜んで訪れたい。再検討会議の議長にも伝える」と応じた。

(2019年5月3日朝刊掲載)

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