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社説・コラム

天風録 『平和の花の祭典』

 広島市現代美術館(南区)は3日、開館30周年を迎え、記念イベントを開いた。館内の特設会場では米国出身の詩人アーサー・ビナードさん(51)が、新作紙芝居「ちっちゃい こえ」を初披露した。

 紙芝居は、丸木位里・俊夫妻の連作「原爆の図」を題材に、生きものを形づくる細胞の視点から核を問う物語。ビナードさんは詰め掛けた200人余りを前に、情感豊かに演じた。

 同館では、30年の軌跡を振り返る特別展「美術館の七燈(しちとう)」(中国新聞社など主催)が26日まで開催中で、丸木夫妻の「原爆―ひろしまの図」も展示されている。ビナードさんは「ヒロシマには、語るべき物語が無限にある。ここ美術館も物語の源」などと話した。

 この日は学芸員らによる展示解説や、野外の彫刻を探検するツアーもあり、終日大勢の来場者でにぎわった。(森田裕美)

(2019年5月4日朝刊掲載)

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