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ヒバクシャ署名 世界に 被団協事務局長 会場でアピール

 NPT再検討会議の第3回準備委員会が開かれている米ニューヨークの国連本部で3日、全ての国に核兵器禁止条約の締結を求める「ヒバクシャ国際署名」をアピールするイベントがあった。日本被団協の木戸季市事務局長(79)たちが被爆の惨状を証言。来場した非政府組織(NGO)関係者たちに、署名活動を世界に広げるよう呼び掛けた。(ニューヨーク発 明知隼二)

 木戸氏は冒頭、5歳のときに長崎市で被爆した体験を語った。爆心地から約2キロの自宅前で母と被爆し、顔の左半分を焼かれた。防空壕(ごう)で夜を明かした後、黒焦げ遺体があちこちに残る中を郊外に逃れた。

 焦土と化した街を「全てが黒かった」と回想。「原爆は人類を滅ぼす兵器。青い地球を次世代に渡すため、私たちにできる最後の仕事がこの署名だ」と訴えた。続いて浜住治郎事務局次長(73)も証言した。

 「高齢にもかかわらず、なぜ諦めず行動し続けられるのか」との会場からの問いに、木戸氏は「逃げたくなることはあるが、原爆で亡くなった人みんなが仲間だから、逃げるわけにはいかない」と答えた。

 イベントは、米国で平和教育などに取り組み、国際署名に協力する平和団体「ピーク・インスティテュート」が主催。レベッカ・アービー代表(37)は、署名が約940万筆集まった現状に「世界の人口を考えれば、少なくとも1億の署名が必要だ。被爆者の核兵器廃絶の願いを実現できるかは、私たち次第だ」とさらなる連帯を求めた。

(2019年5月5日朝刊掲載)

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