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展示一新 「あの日」に迫る 原爆資料館本館 改修終え再開

 原爆資料館(広島市中区)の本館が25日、リニューアルオープンした。犠牲者の遺品など約300点の実物資料を中心に展示内容を一新し、「あの日」により深く迫る。1955年の開館から3度目の大規模な改修。国内外からの観光客や市民が相次ぎ訪れた。

 東館であったセレモニーで、松井一実市長は「核兵器のない平和な世界の実現を願うヒロシマの心を市民社会の共通の価値観にする役割を、これまで以上に果たせるようになる」とあいさつ。滝川卓男館長たちとテープカットに臨んだ。

 午前8時半に開館した。児童生徒や家族連れたちは資料に見入り、被爆者の苦しみや子どもを失った親の悲痛な思いに触れて涙を拭う姿もあった。

 本館の展示は、破壊された都市の状況をイメージしてもらう「8月6日の惨状」や、遺品や遺影を通して被爆者や遺族の苦しみに向き合う「魂の叫び」など4コーナーで構成される。実物資料305点(複製6点を含む)をはじめ、原爆の絵や写真など計538点の資料を並べる。

 被爆者の高齢化が進み、記憶の継承が課題となる中、来館者の感性に訴え掛ける形で原爆の惨禍と核兵器の非人道性を伝えるよう改修した。今回は本館で「被爆の実相」を、東館で「核兵器の危険性」や復興と平和活動をたどる「広島の歩み」を学べるよう整理した。(野田華奈子)

原爆資料館
 1955年に本館、94年に東館が開館した。広島市は国重要文化財の本館の耐震化を進め、被爆の惨状や核兵器の非人道性をより分かりやすく伝える施設を目指し、2014年3月に全面改修に着手。東館は同年9月に展示スペースを閉じて改装し、17年4月に再び開館した。入れ替わって本館を閉鎖し、内部改修と耐震化を進めた。耐震化工事は19年度中に終える。総事業費は70億3500万円。資料館の18年度の入館者数は152万2453人。外国人の数は43万4838人で6年連続最多を更新した。

(2019年4月26日朝刊掲載)

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